シリア便り

ホムスに残った1本の桜

10年前にシリアで桜を植えました。


 素晴らしいシリアの文化と日本の文化の交流を目指してのことでした。 
シリアの人たちの全面的な協力を得て100本の苗木を各地に植えました。 

 帰国して1週間後、紛争がいきなり勃発し、いつ終わることなく今に至るまで続いてしまってます。 
桜はほぼ全滅と思われました。

先日東京新聞のカイロ支局の方から、桜がどうなったか追跡調査をしていると連絡があり、しばらくしてホムスで1本見つかったと電話がありました。

ホムスは激戦地でした。
よくもまあ、というのが実感です。
写真を見ると、手入れが行き届かなく痩せていますが、紛れもなくあの時みんなで幸せいっぱいな気持ちで植えた桜でした。
今、シリアへの関心は低くなりつつあるように感じられますが、この様なことをきっかけに、復興に向かっているシリアに関心を持っていただければと願っています。

2021.04.19 佐藤義隆

東京新聞の掲載記事は以下の通りです。
シリアの桜Homs.jpg


【シリア便り】

「シリアの今」をお伝えするシリア便り。

第1回は、ロボットコンテストに取り組むシリアの学生たちの様子をお伝えいたします。

シリアの大学でも学生たちのロボットコンテスト(以下ロボコンと略)が盛んです。

今回、ダマスカスの大学HIAST(Higher Institute for Apply Science and Technology)の教授でシリアロボコンの会長をされているアル マンレー博士に、学生たちのロボコンに取り組む様子やシリアからの世界コンテスト参加の様子などをうかがいました。


アルマンレー教授は三重大学に留学されました。三重大学でロボコンクラブに属し、多くのことを学んだそうです。

【以下の写真は、2014年 ロシアのソチで開催されたロボコン WRO(World Robot Olympiad)に参加した時の様子です。】

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以下・アル マンレー博士(ダマスカスの大学 HIAST)のご報告==========


シリアのロボットチームは2010年に世界ロボコン(WRO)に参加しましたが、2012年からはWROに参加出来なくなってしまいました。HIASTでロボコンクラブが始まったのは2012年です。

現在シリアには約100のロボコンチームがあり、約500人のシリア学生が参加しています。

HIASTには、10チームあり45人が参加しています。


2014年のWROはロシアのソチで開催され、シリアのチームも参加することができました。高校部門、中学部門で良い成績をあげました。初日HAISTチームは上位16位以内に入り、翌日10位の結果を得ました。この結果は私達にとって本当に大きな励みになりました。このときのシリアチームは12名で、内女性が2名でした。


私は、ロボットコンテストは次のような点で大変意味のある行事と考えます。

  1. ロボコンは夢が現実にすることを可能にします。それは学生たちにロボットの探求を通じて視野を広げる機会を提供します。

  2. 学生たちに、数学や物理学の問題を解くための新しい道具を提供します。

  3. 学校での科学技術の教育活動に、新しい現代科学を紹介できます。

  4. ロボコンは創造的思考を促進させ、コミュニケーション能力、協調性を高め、関連する高度な新しい知識を身に付けさせることに貢献します。

  5. 教育的なロボット競技への挑戦により、世界中の若者の創造的能力と問題解決能力を発展させることができます。

  6. 科学技術の応用方面へ、若者の見方を広げさせることは、学習方法のより効果的な改善に繋がり、将来彼等が科学者や技術者や発明家になっていくことの力になるでしょう。

  7. チームワーク精神、マインドストームの考え方を発達させることは、社会の中で積極的に生きることに繋がるでしょう。


私達シリア人教授と何人かの仲間たちは、大学内にロボコンに関する情報を広めこの競技の重要性を強く訴えるために一生懸命働いています。

私は日本の様にロボット文化をシリアにも根つかせたいという使命感を持っています。


2006年私は初めてチームを作りましたが、クウェイトで開催された第一回アラブロボットコンテストに参加して銅メダルを取りました。

2010年に私はHIAST内で新しいロボコンチームを35人の学生と共に作りました。2011年に活動場所を新しくもらいWROへの参加を準備しました。2015年にロボット部品を買う少しの予算が認められました。


非常に良いニュースとして、シリアのロボットコンテストの状況の改善のため、大学、高校教員からなる「シリアロボット顧問会議」が設置決定されました。私達はこの顧問会議を通して新しいより良いものが得られていくことを期待しています。


私にとって(留学した)三重大学でのロボコンクラブの経験は非常に貴重なものでした。

そこから私は、ロボットについての知識や情報だけでなく、チームワーク、ボランティア活動、時間管理の大切さ、マインドストームを如何に行うかなども学びました。

本当に、野村先生や他の日本の仲間すべての人たちに感謝の言葉もありません。


今シリアではいくつかの困難があります。一番の問題は部品やキットの供給の不足です。

100キット必要であすが、私達には10キットしかありません、

私たちはさらにセンサーを必要とします。私はロボットコースの進んだ研究をフォローし、新しい経験を得るためにさらに多くを必要としています。


(参加学生たちの感想は機会を改めてお知らせできればと思います。)



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