アッサラーム アレイクム
(みなさんこんにちは。)
このような盛大なレセプションを催して下さいまして、ありがとうございます。
本日ここに集まって下さいましたすべての方々に、感謝いたします。
私はシリアに約20年前に初めて来ました。そして友人のムスタファ博士の家に滞在しました。ムスタファさんは前年に日本へ半年間JICAの支援による研究で来られ、そのとき知り合い、それがきっかけで私がシリアに来ることになったわけでした。
5日程の滞在の後、私は一人でシリア国内を旅行しました。約1週間でシリアを1周し、多くの町を訪れ、多くの人たちに会いました。そしてシリアって本当に素晴らしい国だと思いました。人々は親切で礼儀正しく、全く安全でした。そして壮大な歴史遺産を至る所で目にすることができました。
シリアの人たちは、日本に対し良い印象を持ち尊敬しています。しかし日本人はシリアのことをほとんど知りません。私はこのシリアの素晴らしさを是非日本に伝えるべきだと思いました。しかし何もしないうちに20年近い歳月が流れてしまいました。ムスタファさんとはその後しばらく関係が途絶えていましたが、4年前から連絡を取り合うようになり、物理・数学関係の共同研究を始め、それ以後毎年シリアに来ております。
このさくらプロジェクトのきっかけとなったのは、2年前にシリアへ来た時のことです。ムスタファさんの家での朝食の後、お茶を飲みながら雑談していた時、ムスタファさんが何気なく、「ダマスカスに桜並木があったらなあ」とつぶやきました。ムスタファさんは大の日本好きで、JAAS (JICA Alumni Association SYRIA, 全シリアJICA研修員同窓会) の会長をされ、日本との友好関係を推進する民間団体の責任者でもあります。
彼のつぶやきを聞いた瞬間、私にはシリアに美しいさくらが咲き乱れる光景が目に浮かびました。
さくらは、日本人のだれもが最も愛している花です。日本の象徴です。
シリアに桜が咲けば、日本人のシリアへの関心は一挙に高まるだろうし、その結果、シリアの人たちも日本人をもっとよく知ることができる、これは素晴らしい交流になる! と思いました。
そこですぐ、「よし、是非実現させよう!」という話になりました。
日本へ帰っていざ取り組んでみると、検疫の問題、資金の問題などなど、非常に難しいことがわかりました。しかし諦めないで試行錯誤を繰り返しているうちに何となく活路が開けて来ました。
まず日本シリア親善協会を設立し、シリアとの交流のプロジェクトとして「シリアに桜を植樹する」こととしました。
新聞(東京新聞7月13日夕刊)にも掲載され、多くの人から関心や支援が寄せられました。シリア大使館の後援も得られ、全面的な協力が得られました。
現在会員は104名です。
12歳から94歳の方まで。学生、主婦、会社員、会社経営者、自由業、無職などなど、年齢も職業も様々です。このような非常に多様な会員をもつ団体はあまりないのではないでしょうか。
ほとんどの方はシリアに来たことはありませんし、また知識も持たれていません。
「えっ、桜を植えるの?! それは素晴らしい」
「で、シリアに?!」
「シリアってどんな国なの?」
という質問が続きます。
そこで私は、シリアは古代では日本とシルクロードでつながっていて「シリアから多くの貴重なものが日本に来ていること」「世界遺産もたくさんあり、人々は穏やかで、日本のことを大変好意を持ってくれていて、国の治安も大変よく、外国人女性が一人旅行をしても安全であること」などと説明します。
このようなことをしながら、私はシリアに桜を植えるということが日本とシリアの交流にとって、大きな役割を果たしていくと私は確信するようになっています。
今回、シリア側でのこのプロジェクトへの支援と準備は完璧なものでした。関わって下さった方々に厚くお礼申し上げます。特にJAASのメンバーの方々に感謝いたします。
この植樹の交流に日本から参加した人は、桜とシリアのことをいつまでも親しみをこめて覚えていると思います。
きれいな花を咲かせるためには、植樹後もお互いに協力し合って育てて行く必要があります。そのような継続性を必要とすることからも、この交流は普通行われている交流とは違う特徴があるように思っています。
アメリカのワシントンに世界の名所になっている桜並木があります。ポトマック川の桜といって、花のさく時期には盛大な桜祭りがあり、全米から観光客が沢山集まります。
この桜は90年位前に東京からワシントンに贈られ植え続けられたものですが、最初の植樹は失敗し、2回目からようやくうまくいったのだそうです。
植樹をした苗木が美しい桜の花を咲かせるようお互いに力を合わせて頑張りましょう。
今回の第1回桜植樹は、これからのシリアと日本の親善交流の歴史的な第一歩であることを確信しております。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
ご静聴、ありがとうございました。
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